後遺障害7級:高次脳機能障害で異議申立により上位の後遺障害等級認定を受け賠償額が1054万円アップした事例

男性(60代)
7級:高次脳機能障害

1.事故発生

和歌山市在住の男性(60代)が、深夜、信号機の消灯した交差点の横断歩道の手前の道路部分を横断していたところ、交差点に向けて直進してきた加害者運転の自動車に衝突されました。依頼者は、脳挫傷、左動眼神経麻痺、肋骨骨折等の傷害を受けました。

2.相談・依頼のきっかけ

依頼者は、高次脳機能障害の後遺症状が残りました。当初、加害者側損害保険に後遺障害認定手続を任せる事前認定手続により、後遺障害9級10号の認定を受けました。そして、加害者側損害保険より、約797万円(既払額約316万円、及び、過失相殺分を除くが、自賠責後遺障害9級分616万円を含む)の示談提案を受けました。しかし、賠償額が少なすぎるのではないかと考えたご家族が、当事務所に相談されました。

3.当事務所の活動

依頼者は、家庭内での日常生活もままならなくなり、施設に入所されておられましたので、施設を訪問して直接面会してお話をさせていただきました。そうしたところ、記憶障害の程度が重い印象を受け、どうも事前認定で認定された後遺障害等級よりも、障害の程度が重いのではないかと思われました。そこで、当事務所において、異議申立をして上位等級の認定を受けることを検討しました。

事前認定手続による後遺障害等級認定では、一旦退院された後に転倒して再入院されていることから、その後に治療が終わった段階の後遺障害診断書作成時点ではなく、当初の退院時点での症状を基準として、後遺障害等級認定がなされていました。また、整形外科の後遺障害診断書には左動眼神経麻痺も記載されているにもかかわらず、事前認定手続では、なぜか眼科の後遺障害診断書が作成されておらず、左動眼神経麻痺については後遺障害等級認定を受けていませんでした。

そこで、①一旦退院された後に転倒したのは、左動眼神経麻痺の影響によるものなのだから、その後の再入院も交通事故によるものとみるべきであり、その後の後遺障害診断書作成時点ではもっと症状が悪化しているのだから、後遺障害診断書作成時点の症状を基準として認定すべきだ、②仮に、当初の退院時点での症状を基準に級認定するとしても、後遺障害等級はもっと重いはずだ、③左動眼神経麻痺についても後遺障害等級認定がなされるべきだ、の3本立てで異議申立をしようという方針を立てました。

ただ、事故当時に治療を受けておられた病院が、既に休院して営業していない状態となっていたため、当時の医療記録の取り寄せに手間取ることになりました。また、一旦退院された後も転倒しやすい状況だったことなどを証明するため、当時の主治医の先生にご協力をお願いしたところ、既にその病院とは関係がなくなっているとのことで、協力が得られませんでした。

それでも、ご家族に詳細な日常生活報告書を作成いただき、事故の前には問題なかった日常生活が事故後にかなりの支障が生じていることをアピールたり、新たに眼科の後遺障害診断書を作成いただくなど、できるだけのことをして被害者請求による異議申立を行いました。

その結果、上記①②の主張ついては残念ながら認められませんでしたが、当初の退院時点での症状を基準としても、後遺障害等級は事前認定での判断よりもっと重いとして、7級4号の後遺障害等級認定を受け、自賠責から後遺障害7級分1051万円の支払を受けることができました。

そのうえで、加害者側損害保険と示談交渉を行いました。

4.当事務所が関与した結果

鋭意、示談交渉を進めた結果、約778万円(既払額、過失相殺分、及び、自賠責後遺障害級分1051万円を除く)の支払いを受ける内容での示談がまとまりました。先に自賠責から支払いを受けた後遺障害7級分1051万円を合わせると、当初の加害者側損害保険の示談提案と比べて、約1054万円の増額を受けることができました。

5.解決のポイント(所感)

高次脳機能障害で適正な後遺障害等級認定を受けるためには、どれだけの障害が生じているか、つまり、事故の前には問題なかった日常生活が事故後にどの程度の支障が生じているかを、審査機関にきちんと理解してもらえるかが、一つの重要なポイントになります。そのためには、具体的で詳細な日常生活報告書を作成して提出することが必須です。

ところが、加害者側損害保険に後遺障害認定手続を任せる事前認定手続では、加害者側損害保険はそんなことは教えてくれませんから、必要最小限度が記載された簡潔な日常生活報告書を提出してしまい、その結果、実際の後遺症状の程度よりも低い後遺障害等級が認定されてしまうことが、しばしばあるように思われます。
この依頼者のケースでは、事前認定手続で、依頼者が入居していた施設の方が作成した簡潔な日常生活報告書を基に、後遺障害9級10号の認定を受けていました。

やはり高次脳機能障害で適正な後遺障害等級認定を受けるためには、加害者側損害保険に認定手続を任せる事前認定手続では不十分であり、交通事故に詳しい弁護士にご相談いたければと思います。

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