失敗しない弁護士選びについて~弁護士比較サイトにはご注意を!~
突然の交通事故で、お怪我の治療や、警察からの事情聴取や、保険会社とのやり取りなど、やるべきことがたくさん押し寄せてきて、戸惑われる方が多いのではないでしょうか。
特に、相手方の保険会社との間では、過失割合の交渉や、治療期間の交渉や、示談金額の交渉など、骨の折れるやり取りが多く、ご自身ですべて対応するのは、なかなか大変です。
そのようなときは、交通事故問題に強い弁護士に、ご相談されることをお勧めします。
もっとも、お知り合いから紹介された弁護士が、必ずしも「交通事故に強い」かどうかは分かりません。また、インターネットで検索すると、「交通事故に強い」などと書いてある弁護士のホームページがたくさん出てきます。
弁護士を比較するためのサイト(いわゆるポータルサイト)にも、たくさんの弁護士が登録されています。
検索やポータルサイトに表示される弁護士の中から、本当に「交通事故問題に強い」を、どうやって探したらいいのか、失敗しない弁護士選びのポイントをご説明します。
目次
1.交通事故の取扱件数が多い、被害者側に精通した弁護士を選ぶ
1.交通事故の取扱件数が多い、交通事故に精通した弁護士を選ぶ
ホームページや電話帳では、多くの弁護士が、「交通事故」を取り扱かっていると記載しています。
しかし、その弁護士が、「交通事故」を取り扱うからといって、必ずしも交通事故に精通しているとは限りません。弁護士が取り扱うことのできる分野は、交通事故だけでなく、離婚や、相続や、労働問題や、企業法務など多
岐にわたっており、実際に「交通事故」分野を業務の中心にしている弁護士は、それほど多くはありません。実際、交通事故の相談は年に数件あるかどうか、という弁護士も多いのです。
もちろん、弁護士ですから、そのつど書籍などを調べれば、ひととおりの対応はできるとは思います。
しかし、交通事故の対応というものは、それだけで十分ではありません。
通院をどう適切にするか、後遺障害の認定を求めるうえでどのような資料が重要か、保険会社との交渉の進め方など、適格な対応が必要です。
交通事故で発症する症状の中には、高次脳機能障害のような、対応に高度な専門知識が必要とされるものもあります。また、重大な事故の場合には、体の治療だけでなく、被害者ご本人やご家族の方への精神的なサポートが必要となることもあります。
これらは、実際に交通事故を多数取扱い、経験を蓄積していなければ、適切な回答や対処が難しいものです。
なお、多数の交通事故の取扱実績を掲載している弁護士の中には、損害保険会社からの紹介が多く、そのため、実際には加害者側としての取り扱いが多い、ということもあります。
交通事故の被害者としては、被害者側として、交通事故の案件をたくさん経験している、交通事故問題に精通した弁護士に相談されることをお勧めします。
2.後遺障害の認定の相談にのってもらえる事務所を選ぶ
後遺症状が残った場合、後遺障害が認定されるかどうかが、とても重要です。
例えば、後遺障害14級が認定されるのと、非該当と認定されるのでは、数百万円以上も賠償金額が変わってしまいます。
しかし、後遺障害の認定について、積極的に相談にのってもらえる弁護士は、まだまだ少ないのが現状です。
せっかく相談しても、
「後遺障害認定前の相談は、やっていません」
「事前認定の結果が出たら、来て下さい」
という回答をする弁護士も、実際には多いようです。
そういう弁護士は、もしかすると、まだ親切なのかもしれません。
後遺障害認定のポイントをよくわからずに、必要な資料もそろえないまま、不十分な申請をしてしまい、その結果、後遺障害が非該当と認定されてしまったら、これを後から覆すのは大変です。
適切な後遺障害が認定されるためには、症状に応じた適切な治療を受ける必要がありますし、場合によっては症状を裏付けるために一定の検査をする必要があることもあります。
後遺障害の認定に精通した弁護士であれば、通院方法や検査等について適切なアドバイスをすることができます。
ですので、後遺障害の認定の相談に適切にのってもらえる弁護士に、ご相談されることをお勧めします。
3.弁護士比較サイトだけでは弁護士を選ばない
インターネットで「弁護士 交通事故」と検索すると、弁護士の作成したホームページだけでなく、弁護士を比較するためのサイト(いわゆるポータルサイト)が表示されることがあります。
ただ、弁護士比較サイトでは、その比較サイト運営者に広告料を支払うことで、比較サイト内で上位に表示してもらうことができるようになっていることが、多いようです。ですので、弁護士比較サイトで上位に表示されている弁護士が、その分野について、豊富な知識があるかどうかや、取扱実績数が多いかどうかは、それだけでは分からないのです。電話帳公告と同じですね。
ですから、弁護士比較サイトに表示されているかどうかや、比較サイト内で上位に表示されているかどうかだけで、弁護士を選ぶというのは、あまりお勧めしません。
比較サイトの表示だけでなく、その弁護士の作成したホームページをしっかり読んだり、実際にその弁護士に相談したりして、本当に交通事故問題に精通した弁護士、特に被害者側に実績のある弁護士を選んでいただきたいと思います。
4.地元の弁護士を選ぶ
インターネット広告や新聞広告などで、大阪や東京など、遠方の弁護士事務所が「全国どこからでも相談を受け付けます」という広告を出していたり、出張相談を実施していたりするのを、見かけます。
中には、依頼者との面談もなく、「電話やメールだけで大丈夫です」という事務所もあるようです。
しかし、ごく軽微な事故は別としても、交通事故問題の解決のためには、被害者の方やご家族と実際に面談して、
事故状況を聴き取ったり、症状や損害の状況を詳しくお伺いして、弁護士が実情を理解したうえで、適切な解決方法を一緒に検討することが必要となることも多いです。
確かに、電話やインターネットは便利ですが、いざというときに、弁護士と面談できなかったり、面談するときに遠方まで出向かなければならないとしたら、とても不便ですし、交通事故の適切な解決に支障が出かねません。
近くの弁護士が交通事故問題に詳しくないのであればやむを得ませんが、そうでないなら、できるだけ地元の弁護士で、交通事故に詳しい弁護士にご相談されることをお勧めします。
5.まとめ
これまでご説明してきましたように、交通事故問題で後悔しないために、次の4つのポイントで、相談される弁護士をお選びいただきたいと思います。
1.交通事故の取扱件数が多い、被害者側に精通した弁護士
2.後遺障害の認定の相談にのってもらえる事務所
3.弁護士比較サイトだけでは判断しない
4.地元の弁護士
交通事故問題で弁護士選びを間違えてしまうと、結果にダイレクトに影響してしまいます。くれぐれも、弁護士選びは慎重になさってください。