死亡事故:賠償額が6334万円から1億1221万円へアップした事例(改訂)

男性(30代)
死亡事故

この事案は私が独立して事務所を開設する前のものですが、弁護士になって初めて本格的に交通事故に取り組み、被害者救済に力を入れる契機となった事案ですので、ご紹介いたします。

 

1.事故発生

30代半ばの会社員の男性が、片側一車線の自動車専用道路を自動車で進行中、対向車線を越えて進行してきた対向車と正面衝突したという交通事故により、ほどなく亡くなられました。

 

2.相談・依頼のきっかけ

加害者本人やその家族の対応などに納得できないとして、今後の進め方などについて相談をお受けし、以後の加害者に対する刑事処分への対応や損害賠償をお願いしたいとのことで、依頼をお受けいたしました。

 

3.弁護士の活動

ご遺族としては、加害者に対する刑事処分が決まらない限り気持ちの整理が付かず、とても示談交渉できないとのことでした。当時はまだ刑事手続上の犯罪被害者保護制度が十分ではありませんでしたが、捜査機関への対応など、できる限りサポートいたしました。

その後、加害者の実刑が確定し、示談交渉が始まりましたが、損害保険会社からは、逸失利益4013万円、慰謝料2200万円などを内訳とし、合計約6334万円(既払額を除く)の示談提案がありましたが、到底、納得できる額ではありませんでした。

 

4.弁護士が関与した結果

正当な損害賠償額を求めて民事裁判を行い、その結果、既払額を除き約1億1221万円(うち遅延損害金約1107万円)とする判決を得て、解決しました。

 

5.解決のポイント(所感)

死亡逸失利益を算定する場合、原則として、死亡時の年収を基準として判断されることになります。

 

もっとも、比較的若年者の場合、賃金が低く抑えられていることが多く、それでは不公平になってしまいますので、裁判では一般に30歳未満の場合には、全ての年齢を平均した賃金統計額を基準として判断されています。

 

しかし、本件では、被害者が30代半ばでしたので、原則にしたがえば死亡時の年収を基準として判断されてしまいます。しかも、事故直前に勤務先会社の賃金体系が、年功増額型から成果増額型に変更されたため、亡くならなければ将来年収が増加したはずという証明が困難になっていました。

それでも、勤務先会社の協力を得て、成果増額型以降後の社員の賃金増加状況を書証として提出したり、人事部の方を証人申請するなど、成果増額型であっても将来年収が増加したはずだという点について、丁寧な立証活動に努めました。

 

結果的には、原則の壁は厚く、死亡時の年収を基準として死亡逸失利益が算定されてしまいましたが、その代わり、当時としては破格の慰謝料額3000万円を認めてもらうことができました。

 

このように、裁判では、慰謝料が調整要素として増額されることがありますので、難しい逸失利益であっても、丁寧な立証に努めることが大事なことがあります。

亡くなられた命は返って来ませんが、せめて十分な賠償がなされたことが、ご遺族の方々の救いになったのではないかと思います。私が弁護士になって初めての交通事故事案で、しかも努力が結果に結びついた事案であり、今でも忘れられない事件の一つです。

 

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