後遺障害に関する損害

page-image_0006後遺障害(後遺症)とは、「これ以上治療を継続しても症状の改善が見込めない」と医師に判断(症状固定といいます)されてもなお、一定以上の不具合(障害)が体に残ったものです。後遺障害は、障害の程度によって、重いものから順に1級から14級まで等級が付けられており、この等級によって賠償額が大きく変わってきます。ですから、どのような等級が認定されるかは、とても重要です。

後遺障害が認定される場合、後遺障害慰謝料と逸失利益が損害として請求できます。

 

【後遺障害慰謝料】

後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ったことによる精神的苦痛に対する補償です。
後遺障害の等級によって基準があります。もっとも、あくまでも基準(目安)ですから、後遺障害等級では認定されがたい更なる精神的苦痛を受けているような場合には、裁判では増額を主張して争うこともできますが、かなりの医療上の証拠などが必要です。
※自賠責基準は、「神経系統の機能または精神・胸腹部臓器に著しい障害を残し、常時また随時介護を要する後遺症障害」による1級・2級などの場合は加算等があります。
※裁判基準は、一般的な目安であって、事案の内容により増減があります。

後遺障害等級 自賠責基準 裁判基準 労働能力喪失率
第1級 1,100万円 2,800万円 100%
第2級 958万円 2,400万円 100%
第3級 829万円 2,000万円 100%
第4級 712万円 1,700万円 92%
第5級 599万円 1,440万円 79%
第6級 498万円 1,220万円 67%
第7級 409万円 1,030万円 56%
第8級 324万円 830万円 45%
第9級 245万円 670万円 35%
第10級 187万円 530万円 27%
第11級 135万円 400万円 20%
第12級 93万円 280万円 14%
第13級 57万円 180万円 8%
第14級 32万円 110万円 5%

 

【後遺障害逸失利益】

将来得られるはずだったはずの収入が、後遺障害のために得られなくなってしまった場合、後遺障害逸失利益として、補償(損害賠償)が認められます。
後遺障害逸失利益は、基礎収入に労働能力喪失割合を乗じて、これに労働能力喪失期間に対応するライプニッツ係数を乗じて算定します。

逸失利益額=①事故前の基礎収入×②労働能力喪失率×③ライプニッツ係数(④労働力喪失期間によります)で計算されることとなります。
逸失利益の計算は、職業や年齢など色々な要素が複雑にからみ、相当額の判断が難しいところですので、弁護士にご相談されることをお薦めします。

基礎収入については、原則として、事故前に得ていた実際の収入を用いますが、例外もあります。
休業損害における基礎収入とほぼ同じ考え方でので、詳しくは(休業に関する損害)のページをご参照ください。
もっとも、30歳未満の若年者の場合、事故前に得ていた実際の収入だけでは低額になり過ぎることから、将来の増収を見込んで、賃金センサスの平均賃金を使います。
また、勤務先企業に定年制がある場合、定年後の基礎収入が減額されることがあります。

労働能力喪失割合は、後遺障害慰謝料のところに掲げた表のように、後遺障害の等級によって基準があります。もっとも、あくまでも基準(目安)ですから、後遺障害等級では認定されがたい職務上の更なる不都合があるような場合には、裁判では増額を主張して争うこともできますが、かなりの医療上の証拠などが必要です。

ライプニッツ係数は、将来受け取るはずの逸失利益を、前倒しで損害賠償として受けとることになるため、その分の利息(中間利息)を控除するために使う係数です。たとえば、5年先に300万円を受け取ることになっていたのに、それを損害賠償として5年前倒しで受け取ることになるとすると、目の前の300万円と5年後の300万円とでは価値が異なるという考え方に立ち、仮に「複利で運用した」場合には5年後に300万円となるはずの金額を算定するために、このライプニッツ係数を使います。現在、裁判所では法定利率の5%で中間利息を計算する運用が確定していますが、被害者側にとっては厳しいところです。
(ライプニッツ係数についてはこちらPDF資料にリンク)

労働能力喪失期間は、原則として67歳まで就労するであろうことを前提に、症状固定時から67歳までの期間となります。おおむね55歳以上の高齢者については67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長い方の期間を用られることが多いようです。なお、むち打ちなどの神経症状の場合、裁判所では、喪失期間を5年(14級の場合)ないし10年(12級の場合)程度しか認めないことが多いようです。

損害賠償額の計算例

(ここは事務所の事例に合わせて修正してください)

後遺障害等級10級の場合

例えば、症状固定時の年齢40歳、基礎収入が500万円で、後遺障害等級10級の認定を受けた場合の逸失利益は、1,976万8050円となります。

500万円×0.27(喪失率27%)×14.643(労働能力喪失期間27年のライプニッツ係数)=1,976万8050円 また、後遺障害慰謝料の裁判基準は530万円です。
したがって、この事案で後遺障害に基づく賠償額は、合計2,506万8050円となります。

後遺障害の等級認定が後遺障害の賠償額を決める

後遺障害の等級認定は、損害保険料率算出機構が医師の診断書などをもとに行いますが、被害者が考えていたよりも低い等級で認定されてしまったり、「非該当」とされることもしばしばあります。

適切な後遺障害の認定を受けるためには、適切な治療を受け、適切な検査を受け、適切な後遺障害診断書を作成してもらうことがとても重要です。しかし、同じ症状でも、医師がどのような治療を選択するかや検査を選択するかは、医師によって異なりますし、後遺症診断書の書き方も全く違います。医師は、治療についてのプロですが、後遺障害の等級認定については必ずしも詳しくご存知の方ばかりではありません。ですから、適切な後遺障害の認定を受けるためには、受傷直後や症状固定前から、後遺障害に詳しい弁護士にご相談されるとよいでしょう。

交通事故に遭われ、後遺障害が予想されるような場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。


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